Column :: vol.4 | 日本アニメの主人公たちの"家"と"ライフスタイル"との関係
ドラえもん・名探偵コナンの家
ドラえもんの家
一方で、昨今の一般家庭のモデルとして長期にわたり愛されているアニメとして "ドラえもん" があります。
時代の流れ、変化を反映しているともいえますが、少子核家族の代表的な家族構成となっています。
一人子ののび太にドラえもんという格好の遊び相手が、様々な魔法のアイテムを時には悪用しながら楽しいお話が展開していきます。
一人子で両親との3人家族、核家族化の時代背景の中で、兄弟のような友達のようないつでも遊び相手となるドラえもんと同居する、まさに最近の子供達からすれば夢のような理想のライフスタイルを実現したのが、ドラえもんといえます。
原作者の藤子不二雄氏のアニメに共通するのは、まさに "子供の夢の実現" だと考えられます。
オバケのQ太郎、パーマン、キテレツ大百科等、現代の子供達が今最も望んでいる夢を具体的に実現したものとして、又核家族、一人子の心にポッカリ空いた空洞をうめるものとして愛されつづけられているのではないでしょうか。
ドラえもんの家の間取りは、2階建一戸建です。最も特徴的な事は、のび太とドラえもんの部屋は2階にあり、2階を専有している点です。
両親は1階に就寝しており、まさに子供にとっては理想的な間取りといえます。
物語でよくあるパターンとして、のび太とドラえもんが2階の子供部屋でワルサをしているときに、階段を音をたてながら駆け上がってきたママが血相を変えて、子供部屋を開けるシーンがあります。
2階を子供部屋が専有していることは、子供達にとっては最も都合が良く、夢の間取りといえます。
しかし、子供にとって最も都合の良い間取りが、家族にとって望ましいかどうかは必ずしも一致しません。
のび太は、毎週のようにドラえもんの魔法のアイテムを使って問題を起こします。
物語の終盤には、必ず教訓めいたことをのび太が気づくことになっています。
しかし次の週になれば、そのような教訓をすべて忘れたかのように同じような問題を起こします。
のび太を子に持つ親の立場からすれば、このような出来の悪い子を持つことは大変で、2階をワルサのアジトにしている間取りをリフォームして、目のとどくところに子供部屋を移動して、常に監視しなくてはなりません。
名探偵コナンの家
さらに極端なライフスタイルの設定で人気のアニメとして、"名探偵コナン" があげられます。
コナンの自宅は、一般庶民からすればかけ離れた大豪邸となっています。
しかしそこでの家族としての営みは一切なく、各々が別居している究極の分散家族の設定となっています。
毎回必ず殺人事件が起こり、それを見事な推理で解決していくもので、日常とはかけ離れた事件ではあるが、(毎日現実のニュースとして流れる殺人事件を考えれば、 必ずしも非日常とはいえない)必ず解決する点でいえば、推理ゲーム的要素を楽しみながら後味スッキリの現代の子供達の娯楽番組といえます。
名探偵コナンの家は家族関係が希薄であることから、現実離れした大豪邸である必要があったのかもしれません。
part3につづく …… 次回おたのしみに