Column :: vol.13 | 美しい街づくりの必要性

天才数学者の生まれる条件

藤原正彦氏と小川洋子氏の「世にも美しい数学入門」(ちくまプリマー新書)の対談の中で、南インド出身のラマヌジャンという天才数学者の話が紹介されています。
「数学では美的情緒がもっとも大切」「若い時に美に触れることは決定的に重要」などと主張していた藤原氏にとって、あれほど美しい公式を、3,500以上も発見したラマヌジャンが育ったクンバコナムという田舎町を訪れた時、その美しい寺院、美しい風景を見て、「数学の天才は、美しい風景の中で育ち、美しい文化があり、美しいものに対して畏敬の念が育っている地域に現われる」と再確認したそうです。
日本もまた、数学者として非常に優れた人がたくさん出ている国です。
これは私見ではありますが、日本におけるノーベル賞受賞者が東京大学でなく、京都大学や京都文化圏に身を置いた人達に多いのは、京都そのものが持つ風景・歴史・伝統・文化・宗教的意識・自然の美しさが、少なからず影響しているのではないでしょうか。
凡人の私達には関係がないといってしまえばそれまでですが、これからの日本を担う子供達を、美しい風景と豊かな自然の中で育てることが、何よりも大切なことだと考えます。

ちなみにラマヌジャンの育った土地からは、他にも20世紀を代表する天体物理学者のチャンドラセカールやノーベル物理学賞のラマンという人も、半径30km圏内から出ています。
これは街づくりに携わる者のささいな夢ではありますが、私達が関わった街で育った子供達の中で、ノーベル賞なり芸術家なり天才アスリートなどが、生まれた生家であり街であると世界に紹介されることを願っています。
"こんな美しい街だからこそ、このような天才が育つのですね" と。
"教育の再生は美しい街づくりから" が私の持論です。

街づくりにおける新たなインソーシングの試み

仕事と余暇のタイムテーブルをうまく使い分けるライフスタイルに応える街づくりを考える上で、重要なテーマとなるのが

  • 美しい景観
  • 安全・安心の街
  • 楽しく活力あるコミュニティ
  • 美しいライフスタイル

等になります。
新たなインソーシングの試みと共に、これからの街づくりにおいて持続可能な『仕組み』を工夫することが必要です。街がより美しく継承されていく仕組みで、世界に誇れる日本の美しい風景を創り出すコンセプトとデザインの追求。それらを持続的に実践し積み重ねることで、世界の人々が憧れるような日本の美しいライフスタイルが、確立されることを目指しています。

今、日本文化や芸術がスマート&クールとして世界で脚光を浴びています。
日本の景観やライフスタイルも同様に、注目されるべく新たなインソーシングへの取組みが始まったばかりです。
"街づくりシニアガーディナー""花くらぶ" 等、これらのさきがけとなる活動は、すでに始まっています。
植物の生態や育て方から地球環境問題まで幅広く、街を美しくしながら、楽しく活力あるコミュニティが広がる。
結果として、安全・安心の街へと結びつけていくこれらの活動は、地域に新風を吹き込みつつあります。

part2につづく …… 次回おたのしみに